【読み物】【Netrunner】妄想イベントNetrunnerConについて

生成AI(Gemini)と戯れていて、完全に妄想・虚無なのですが仮想イベントを開催したらどんな感じか覗いてみました。
プロンプト
NISEI Netrunnerの仮想イベントとして2日間の日程でNetrunnerConというカンファレンスが開催されるとする。
このカンファレンスのスケジュールと各セッションのタイトル、概要を作成してほしい。
[目的]
・世界中(主に日本)のプレイヤーが知識を交換、戦略を磨き、「Netrunnerが好きだ」という共通の想いを確認し合う、祭典とする。
・Netrunnerの基本から最先端の戦略まで、あらゆるレベルのプレイヤーが楽しめるようにする。
[開催形式、対象など]
・オンライン開催をメインとする。
・対象は主に日本のプレイヤー向けとする。(オンライン開催のため、世界中から参加可能)
・カンファレンスは2つのトラック(トラックA、トラックB)で構成されているものとし、トラックAは初級〜中級者を対象、トラックBは中級〜上級者を対象としたセッションが行われるものとする。
[その他]
・各セッションは初級、中級、上級のレベルを明示してほしい。
・開催は2025年8月とする。
回答
承知いたしました。
NISEI Netrunnerの仮想カンファレンス「NetrunnerCon Japan 2025」の2日間にわたるスケジュールとセッション概要を以下に提案します。
NetrunnerCon Japan 2025 へようこそ!
NetrunnerCon Japan 2025は、世界中のNetrunnerプレイヤー、特に日本のコミュニティに焦点を当てた、2日間のオンライン・カンファレンスです。このイベントは、プレイヤーが知識を交換し、戦略を磨き、「Netrunnerが好きだ」という共通の想いを再確認する祭典となることを目的としています。初心者からベテランまで、すべてのプレイヤーが楽しめるセッションを用意しました。さあ、共にサイバースペースへダイブしましょう!
開催日: 2025年8月23日(土)~ 8月24日(日)
開催形式: オンライン(Discordサーバーおよび配信プラットフォームを利用)
ハッシュタグ: #NetrunnerConJP
スケジュール:1日目 - 2025年8月23日(土)
時間 (JST) | トラックA (初級~中級) | トラックB (中級~上級) |
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10:00 - 10:30 | 【共通】開会式 & キーノート NetrunnerCon Japan 2025の開幕宣言!NISEIの最新情報や、このイベントにかける想いを語ります。 |
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10:30 - 11:30 | 【初級】Netrunnerへようこそ! - ルールと基本の遊び方 これから始める、または始めたばかりの方向けのセッション。ゲームの基本的な流れ、重要用語、オンラインでの対戦方法(Jinteki.net)を丁寧に解説します。 |
【中級】現行メタゲーム概論 現在のスタンダード環境で流行しているデッキタイプ(コーポ側・ランナー側)を分析し、その強みと弱点を解説します。 |
11:30 - 12:30 | 【初級】最初のデッキを組んでみよう - システムゲートウェイ徹底解説 NISEIの入門セット「システムゲートウェイ」のカードを使い、初めてのデッキ構築の考え方とカスタマイズのヒントを学びます。 |
【上級】トッププレイヤーパネル「このデッキをこう使う」 国内外のトッププレイヤーを招き、愛用デッキの構築意図や、特定の状況でのプレイング判断について深く掘り下げます。 |
12:30 - 14:00 | --- 昼休憩 & 交流タイム --- | |
14:00 - 15:00 | 【中級】クレジットは命より重い - 経済基盤の作り方 コーポとランナー、両サイドにおける効率的なクレジットの稼ぎ方と、リソース管理の基本的な考え方を解説します。 |
【中級】ブラフの技術 - サーバーと心理戦 リモートサーバーに何を、いつ、どのように設置するか。ランナーの思考を読み、有利な盤面を作るためのブラフと心理戦のテクニックを伝授します。 |
15:15 - 16:15 | 【初級】コーポレーション入門 - 各勢力の「らしさ」を知る ハース、ジンテキ、NBN、ウェイランド。それぞれの基本的な勝ち筋や特徴的なカードを紹介し、自分に合った勢力を見つける手助けをします。 |
【上級】データ vs 直感 - 統計で見るNetrunner 勝率データやカード採用率に基づき、客観的な視点から現環境の強カードやアーキタイプを分析。データが示す意外な真実とは? |
16:30 - 17:30 | 【中級】ランナー入門 - いつ、どこに走るべきか? 闇雲なランは敗北への近道です。ランのタイミング、狙うべきサーバー、そしてリスク管理の初歩を学びます。 |
【上級】ルール解説 Q&Aセッション NISEIのルールチームや経験豊富なジャッジを招き、複雑なカードの相互作用や紛らわしいルールの裁定について、参加者からの質問に答えます。 |
18:00 - 20:00 | 【共通】オンライン交流対戦会 参加者同士で気軽に対戦できる時間です。学んだことを早速試したり、新しい仲間を見つけたりしましょう! |
スケジュール:2日目 - 2025年8月24日(日)
時間 (JST) | トラックA (初級~中級) | トラックB (中級~上級) |
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10:00 - 10:15 | 【共通】2日目オープニング 初日の振り返りと本日の見どころを紹介します。 |
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10:15 - 11:15 | 【初級】アイスとブレイカー - 基本的な攻防を理解する 代表的なアイス(壁)とそれを突破するアイスブレイカーの関係性を学び、コーポの守りを固め、ランナーとして効率的に突破する方法を考えます。 |
【中級】サイドボード構築術 - トーナメントを勝ち抜くために 大会で重要となるサイドボード。メタゲームを予測し、特定の相手に有利になるためのカード選択と入れ替え戦略を解説します。 |
11:30 - 12:30 | 【中級】アジェンダ構成の妙 - 勝利への青写真 デッキの核となるアジェンダ。点数構成やスイート(アジェンダの組み合わせ)がデッキの戦略にどう影響するかを、具体的なデッキを例に解説します。 |
【上級】未来のNetrunner - 新カードセットプレビュー&考察 開発中の新カードセットの一部を先行公開!デザイナーを交え、新カードがもたらす環境の変化や新たなデッキの可能性を議論します。 |
12:30 - 14:00 | --- 昼休憩 & 交流タイム --- | |
14:00 - 15:00 | 【中級】デッキアーキタイプ探訪 アグロ、コンボ、コントロールなど、Netrunnerにおける様々なデッキタイプを紹介。自分のプレイスタイルに合ったデッキを見つけましょう。 |
【中級】"Tilt"しないために - 競技マインドセット 不利な状況でも冷静さを保ち、最善手を導き出すための精神的なコントロール方法や、長丁場の大会を戦い抜くための集中力維持の秘訣を共有します。 |
15:15 - 16:15 | 【初級~中級】有名プレイヤーに挑戦!指導対局 事前に募集した希望者が、解説付きで有名プレイヤーと対戦します。プロの思考プロセスを間近で体感できる絶好の機会です。 |
【上級】NetrunnerCon JP オンラインミニトーナメント決勝戦 イベント中に開催されるミニトーナメントの決勝戦を生配信。トップレベルのプレイヤーによるハイレベルな攻防を、実況・解説付きでお届けします。 |
16:30 - 17:30 | 【共通】コミュニティ・ラウンドテーブル 日本の各地域で活動するコミュニティ主催者を招き、活動内容や今後の展望を語り合います。これからオフラインイベントに参加したい方にもおすすめです。 |
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17:30 - 18:00 | 【共通】クロージングセッション イベントの総括と、今後のNISEIおよび日本コミュニティの活動に関するアナウンス。参加者全員でNetrunnerの未来を祝いましょう! |
その他の企画
- 常設Discordチャンネル: セッション時間外でも、参加者同士が自由にテキスト/ボイスチャットで交流したり、対戦募集をしたりできるスペースを用意します。
- アーカイブ配信: 全てのセッションは録画され、後日限定公開されます。見逃したセッションや、もう一度見たいセッションも安心です。
- デジタル記念品: 参加者全員に、イベント限定のデジタル壁紙やアバターアイコンをプレゼントします。
プロンプト
この仮想イベントの参加レポート記事を作成してほしい。
[ロール]
・プロのライター兼中級~上級のプレイヤー目線でレポートをまとめること。
[出力]
・レポート形式はルポ形式とする。
・レポートは20ページ程度の分量で作成すること。(ページ番号は記載不要)
・このイベントの良かった点、改善点についても言及すること。
回答
承知いたしました。
仮想イベント「NetrunnerCon Japan 2025」について、プロのライター兼中級~上級プレイヤーの視点から執筆した、20ページ相当のルポルタージュを作成します。
【参加レポート】NetrunnerCon Japan 2025 - サイバースペースに灯った、確かな熱狂の記録
筆者:Kaito "Cipher" Tanaka
序章:祭典の前夜
2025年8月23日、土曜日の午前9時55分。俺は自室のデスクで、モニターに映し出されたカウントダウンを静かに見つめていた。傍らのマグカップからは、淹れたてのコーヒーの香りが立ち上っている。画面の中では、無数のアイコンがチャット欄を流れ、期待と興奮を短い言葉に乗せていた。「楽しみ!」「もう待てない!」「USAから参加!」――国境も時差も越えて、一つのイベントのために集った同志たちの声だ。
その名は「NetrunnerCon Japan 2025」。NISEIが主催する、日本を中心とした初のオンライン大規模カンファレンスである。
Netrunnerというゲームは、我々プレイヤーにとって単なるカードゲーム以上の存在だ。サイバーパンクの世界観、コーポレーションとランナーの非対称なゲーム構造、そして何よりも、相手の思考を読み、ブラフを仕掛ける高度な心理戦。それは知的な挑戦であり、コミュニケーションであり、一つの文化だ。しかし、日本ではコミュニティの規模が限られ、プレイヤーは各地に点在している。普段はJinteki.netというオンライン対戦サイトで顔の見えない相手と鎬を削り、たまに開催される店舗大会で旧知のメンバーと顔を合わせる。そんな日常に、このイベントは突如として現れた巨大なビーコン(標識)だった。
「世界中のプレイヤーが知識を交換し、戦略を磨き、『Netrunnerが好きだ』という共通の想いを確認し合う、祭典とする」
イベントの目的として掲げられたこの一文に、偽りはなかった。この2日間、我々はただのプレイヤーではなく、一つの巨大な集合知の一部となる。俺はマウスを握り直し、これから始まる知の祭典に身を投じる覚悟を決めた。カウントダウンがゼロになる。画面が暗転し、オープニングムービーが流れ始めた。
第1章:メタの解体と構築 - 1日目午前
オープニングキーノートは、NISEIの日本担当者からの熱のこもった挨拶で始まった。このイベントが、いかに多くのボランティアの情熱によって支えられているか。そして、日本のコミュニティが持つポテンシャルへの期待。それは単なる儀礼的な挨拶ではなく、画面の向こう側にいる我々一人一人に向けられた、確かなメッセージだった。
キーノート後、カンファレンスは2つのトラックに分かれた。トラックAは初級~中級者向け、トラックBは中級~上級者向け。俺は迷わずトラックBを選択した。Netrunnerの海に深く潜り、その最も複雑で美しい部分に触れたいという渇望が、そこにはあったからだ。
最初のセッションは「現行メタゲーム概論」。これは予想通り、白熱した議論の場となった。パネリストは国内のトーナメントで常に上位に名を連ねる古参プレイヤー3名。彼らはまず、現在のスタンダード環境を支配するコーポのアーキタイプとして、PD (Precision Design) の高速展開型と、Ob (Ob Superheavy Logistics) のアセットスパム型を挙げた。
「PDの強みは、その再現性の高さと、ランナーに対応を強いる速度にある」と一人が語る。「しかし、その直線的な戦略ゆえに、Stargateを的確に設置できるランナーには脆さを見せる」。もう一人がそれに続く。「一方、Obは盤面が完成すればほぼ詰みの状況を作り出せるが、序盤の資産防衛が甘くなりがち。序盤にアジェンダを複数枚抜かれると、そのまま立て直せずに負けるケースも散見される」。
議論はランナー側に移る。Hoshiko、Arissana、Lat。これらが現環境の3強であることに異論はなかった。特にArissana Controlの堅牢さは誰もが認めるところだが、パネリストの一人が興味深い指摘をした。「Arissanaは確かに強い。だが、それはあくまで『待ち』の戦略。コーポ側が非伝統的な勝ち筋、例えばBrain-in-a-Jarコンボのようなものを持ち込んできた場合、対応が後手に回ることがある」。
チャット欄では、「やはりArissanaは最強」「いや、これからはHoshikoの時代だ」といった意見が飛び交う。俺自身、最近はArissanaをメインに使っていたが、このセッションを通じて、その弱点を改めて認識させられた。メタは常に動いている。支配的なデッキへの解答は、常にコミュニティの集合知によって生み出されるのだ。
続く「トッププレイヤーパネル『このデッキをこう使う』」は、さらに具体的で、刺激的なセッションだった。壇上には、海外の有名プレイヤーである"Elena 'The Oracle' Petrova"がゲストとして招かれていた。彼女が披露したのは、最近トーナメントで優勝したという一風変わったJintekiのデッキだった。
「多くのプレイヤーは、Jintekiをネットダメージで勝つ勢力だと考えています。しかし、このデッキの真の勝ち筋は、ランナーの『ランしたくない』という心理を極限まで増幅させることにあるのです」
彼女のデッキには、Psi Game(心理戦)を要求するカードがふんだんに盛り込まれていた。Anansi、Tithoniumといった凶悪なアイスだけでなく、Uroborosのようなランナーのテンポを奪うカードが巧みに配置されている。そして、切り札はUnexpected Sincerity。ランナーが守りの手薄なサーバーを狙った瞬間、手札からアジェンダを公開し、逆にランを躊躇させる。
「重要なのは、全てのサーバーを均等に危険に見せることです。ランナーがどこに走るべきか判断できなくなった時、私の時間は始まります」
彼女の解説は、もはやカードゲームの戦略を超え、心理学の講義のようだった。俺はメモを取るのも忘れ、画面に見入ってしまった。ブラフとは、嘘をつくことではない。相手の中に疑念という名の種を植え付け、それを育て上げることなのだ。このセッションは、俺が持っていた「Jinteki」という勢力への固定観念を根底から覆すものだった。
第2章:データの海と心理の淵 - 1日目午後
昼休憩の時間、俺はDiscordの交流用ボイスチャットチャンネルに飛び込んでみた。そこでは、午前中のセッションの感想を語り合う声が聞こえる。「Petrovaのデッキ、早速組んでみたくなった」「メタ概論、自分の考えと違って面白かった」。オンラインでありながら、そこには確かにイベント会場のざわめきと似た熱気があった。テキストチャンネルでは、早速デッキリストの共有や対戦募集が始まっている。この即時性と気軽さは、オンライン開催ならではの大きな利点だろう。
午後の最初のセッションは「ブラフの技術 - サーバーと心理戦」。午前中のPetrova氏の話を、さらに理論的に深掘りするような内容だった。講師は、コーポレーションのプレイングに定評のある国内プレイヤーだ。
彼は「情報の非対称性」という概念を用いて、ブラフの構造を解説した。「コーポだけが、伏せられたカードがアジェンダか、アセットか、アップグレードか、あるいはトラップかを知っている。この情報アドバンテージをいかに維持し、利用するかが鍵です」。彼は具体的な盤面を提示し、参加者に「この状況で、あなたならどこに何を設置しますか?」と問いかける。
例えば、手札にアジェンダとトラップ(Snare!など)がある状況。多くのプレイヤーは、アジェンダを固く守ったサーバーに設置し、トラップを無防備なサーバーに置くことでランナーを誘い込もうとする。しかし、彼は言う。「上級者になればなるほど、その意図を読みます。あえて逆をやるのです。無防備なサーバーにアジェンダを置き、『これはトラップだ』と誤認させる。もちろんリスクは高い。しかし、成功すれば1ターンでゲームを終わらせるリターンがある」。
それは、Netrunnerが持つリスクとリターンの駆け引きの核心に迫る議論だった。このゲームは、確率論だけでは勝てない。相手の思考レベルを読み、その裏をかく行為が不可欠なのだ。
次に俺が注目したのは、「データ vs 直感 - 統計で見るNetrunner」というセッションだ。これは非常にユニークな試みだった。有志が収集したJinteki.netの膨大な対戦データに基づき、カードの採用率、勝率、特定のカードの組み合わせが勝敗に与える影響などが、グラフや表を用いて示された。
プレゼンターは、データサイエンティストでもある一人のプレイヤーだった。彼の分析は衝撃的だった。「皆さんが『強い』と感じているカードの中には、実は統計的には勝率を下げているものが存在します」。彼はある高コストのイベントカードを例に挙げた。そのカードは決まれば絶大な効果を発揮するため、多くのプレイヤーが採用している。しかしデータ上、そのカードをデッキに入れたランナーの勝率は、入れていないランナーよりもわずかに低いというのだ。
「理由はいくつか考えられます。高コストゆえに手札で腐りやすいこと、そして、そのカードに頼るあまり、基本的な立ち回りが疎かになる可能性があることです」。
これは、プレイヤーの「体感」や「直感」がいかに当てにならないかを突きつける、残酷な事実でもあった。しかし、同時に、我々が陥りがちな思考のバイアスを自覚させてくれる、非常に価値のあるセッションだった。もちろん、データが全てではない。特定のメタやプレイスタイルでは、そのカードが輝くこともあるだろう。重要なのは、直感を信じつつも、客観的なデータでそれを補正する視点を持つことだ。俺は自分のデッキリストを見直し、いくつかのカードについて、本当に必要かどうかを再検討する必要性を感じた。
1日の終わりには、オンライン交流対戦会が開催された。俺は早速、午前中に学んだPetrova氏の思想の断片を取り入れ、Jintekiデッキを即席で組んで参戦した。結果は1勝2敗と振るわなかったが、重要なのはそこではなかった。対戦後、対戦相手とDiscordで短い感想戦をする。「あのサーバー、怖くて走れませんでした」「やっぱりSnare!でしたか!」。そんな会話の一つ一つが、セッションで学んだ知識を血肉に変えていく。これこそ、カンファレンスがもたらす最高の体験だった。
第3章:戦略のアップデート - 2日目午前
2日目の朝、俺は昨日とは違う種類の期待感に包まれていた。初日が知識の「深化」だとすれば、2日目はそれを元にした「再構築」の日になるだろう。
トラックBの最初のセッションは「サイドボード構築術」。これは、競技シーンで勝ち抜くためには避けて通れないテーマだ。講師は、数々の大会で優勝経験を持つベテランプレイヤー。彼は、サイドボードを単なる「対策カードの詰め合わせ」と考えるべきではない、と力説した。
「サイドボードとは、デッキの戦略思想を拡張するものです。メインデッキがプランAなら、サイドボードはプランB、プランCを用意するためのツールキットなのです」。
彼は自身のランナーデッキを例に挙げた。メインデッキは、典型的なリソース勝負を挑むコントロールタイプ。しかしサイドボードには、序盤から積極的にプレッシャーをかけるアグレッシブなカードが多数採用されていた。「相手が私をコントロールプレイヤーだと認識している場合、マリガンや序盤のプレイが受け身になります。そこを突いて、サイドボード後の第2ゲームで奇襲をかけるのです」。
それは、もはやゲームの外、相手のプレイヤープロファイリングまで含めた、多層的な戦略だった。メタゲームとは、流行りのデッキを予測することだけではない。対戦相手が自分をどう見ているかを予測し、その裏をかくことまで含まれるのだ。このセッションは、トーナメントという場が、いかに深い思考を要求される場所であるかを、改めて教えてくれた。
そして、このカンファレンスの目玉企画の一つ、「未来のNetrunner - 新カードセットプレビュー&考察」の時間がやってきた。NISEIのデザイナーが直々に登場し、開発中の新カードセット「Cycle of the Crimson Moon(仮)」の一部を世界初公開するというのだ。チャット欄の興奮は最高潮に達した。
公開されたカードは、どれも刺激的だった。
ウェイランドには、新しいタイプの防衛アップグレードが登場した。それは、サーバーを守るのではなく、ランナーがアクセスした際にランナーのプログラムを強制的にトラッシュさせるという凶悪な効果を持つ。アナルク(Anarch)には、ウイルスではない新しい形のカウンターをボード上にばらまくランナーが登場し、コーポの行動を制約する。そして、NBNはついに「タグ付け」というアイデンティティをさらに強化するアジェンダを手に入れた。
デザイナーは、それぞれのカードに込めた思想を語る。「ウェイランドに、物理的な破壊以外のインタラクションを与えたかった」「アナルクには、これまでの破壊一辺倒ではない、新しい形のカオスをもたらしてほしかった」。
チャット欄は、新たなコンボやアーキタイプの可能性についての議論で爆発していた。「あのアップグレードとこのアイスを組み合わせたら…」「新しいランナーは、今の環境のObに刺さるのでは?」。公開されたのはほんの一握りのカードだったが、そこから広がる未来のNetrunnerの風景は、無限の可能性に満ちていた。プレイヤーでいることの喜びの一つは、こうして未来の環境に思いを馳せ、新しい戦略を夢想する時間にある。このセッションは、その喜びを何倍にも増幅させてくれる、最高の贈り物だった。
第4章:頂点の戦いと、我々のこれから - 2日目午後
午後は、この祭典のクライマックスに向けて加速していく。
「競技マインドセット」のセッションは、技術論とは一線を画す、非常に興味深い内容だった。講師はスポーツ心理学の知見を持つプレイヤーで、彼は「Tilt(ティルト)」、つまり不利な状況や不運によって冷静さを失い、プレイが崩壊する現象について語った。
「Netrunnerは、不運が避けられないゲームです。アジェンダを3枚連続でアクセスされることもある。重要なのは、その後にどう思考を切り替えるかです」。彼は、深呼吸やルーティンワークといった具体的な対処法から、「敗北から何を学べるか」という思考の転換まで、トッププレイヤーが実践しているメンタルコントロール術を紹介した。これはNetrunnerに限らず、あらゆる競技に通じる普遍的な知恵だった。
そして、ついに「オンラインミニトーナメント決勝戦」の生配信が始まった。決勝に残ったのは、事前の予想通り、現環境のメタを象徴するような二人だった。一方は、精密機械のようなプレイングでPDを操るプレイヤー"Alpha"。もう一方は、Arissanaを使い、相手のあらゆる行動に対応する鉄壁の守りを築くプレイヤー"Omega"。
試合は、息をのむような展開となった。
1ゲーム目、AlphaのPDが驚異的な速度で展開し、OmegaのArissanaが対応する前に、4ターンでアジェンダを7点獲得して勝利する。チャット欄は「これがPDの理想ムーブか…」とどよめいた。
しかし、2ゲーム目、サイドボーディングを経てOmegaのArissanaが豹変する。序盤から攻撃的にHQ(手札)へランを仕掛け、Alphaのプランを序盤から崩しにかかる。これは間違いなく、2日目午前の「サイドボード構築術」で語られた「戦略の拡張」を体現していた。試合は長期戦にもつれ込み、お互いのリソースが尽きかけた最終盤、OmegaがR&D(山札)への一世一代のランを成功させ、逆転勝利を収めた。
最終3ゲーム目。Alphaは再びPDを選択したが、そのプレイングは1ゲーム目とは明らかに違っていた。リスクを冒さず、堅実にサーバーを固める。一方のOmegaも、相手の出方を探り、慎重にランの機会を伺う。盤面は膠着し、一手一手が重い、まさに決勝戦にふさわしい緊張感が画面越しに伝わってくる。勝負を決めたのは、Alphaのたった一つのブラフだった。彼は一つのリモートサーバーにアイスを3枚重ねて守りを固めた。Omegaは、そこに決勝点となるアジェンダが隠されていると確信し、全リソースを投じてランを敢行する。しかし、彼がアクセスしたのは、トラップカードのSnare!だった。手札を失い、タグを受けたOmegaは、次のターンのAlphaの猛攻を防ぐことができなかった。
優勝はAlpha。しかし、勝者と敗者の両方に、チャット欄から惜しみない賞賛の拍手が送られた。我々は、Netrunnerというゲームが到達しうる、最高のレベルの知的な格闘技を目撃したのだ。
最後の公式セッションは「コミュニティ・ラウンドテーブル」。札幌、東京、名古屋、大阪、福岡。日本各地で草の根の活動を続けるコミュニティの主催者たちが集い、それぞれの活動の現状や課題を語り合った。地方のプレイヤー確保の難しさ、イベント運営の苦労。しかし、彼らの言葉は一様に明るかった。「それでも、Netrunnerが好きだから」「新しいプレイヤーが一人でも増えてくれるのが嬉しい」。その言葉に、このゲームを支える人々の、無償の愛を感じた。
そしてクロージングセッション。主催者からの感謝の言葉と共に、次回の開催が示唆された。画面の向こうで、誰かが拍手をする音が聞こえる。それは一人、また一人と増えていき、やがて大きな波となった。俺も、思わずPCの前で拍手を送っていた。
第5章:総括 - NetrunnerCon Japan 2025が残したもの
2日間にわたる祭典は、終わった。部屋には静寂が戻り、モニターにはDiscordのチャット画面だけが光っている。しかし、俺の心の中には、確かな熱狂の余韻が残っていた。このNetrunnerCon Japan 2025は、大成功だったと言っていいだろう。
良かった点は、枚挙にいとまがない。
第一に、オンライン開催によるアクセシビリティの高さだ。地方在住の俺にとって、これだけの規模と質のイベントに参加できる機会は皆無に等しい。時差を超えて海外から参加するプレイヤーも多く、日本のコミュニティが世界と直接繋がる貴重な場となった。
第二に、レベル別に分けられたトラック制の妙だ。初心者から上級者まで、全ての参加者が自分のレベルに合った学びを得られるように設計されており、誰一人置いていかないという主催者側の強い意志を感じた。特にトラックBの議論の深さは、俺のような中~上級者にとって、知的好奇心を大いに満たしてくれるものだった。
第三に、コミュニティを活性化させる企画の数々だ。新カードの先行公開は最高のサプライズだったし、トッププレイヤーの思考に触れるパネルディスカッションやトーナメント配信は、我々の目標をさらに高い場所へと引き上げてくれた。
しかし、プロのライターとして、そして一人のプレイヤーとして、今後のさらなる発展を願い、敢えて改善点についても言及しておきたい。
一つは、オンラインならではの偶発的な出会いの創出の難しさだ。オフラインの大会では、休憩中にたまたま隣に座ったプレイヤーと会話が弾み、新たな友人になる、といったことがよくある。Discordのボイスチャットは素晴らしい試みだったが、やはり自ら積極的に参加する必要があり、「廊下での立ち話」のような偶発性は生まれにくい。次回は、例えばランダムに数人のグループを組んで自己紹介をするような、運営側が偶発性を誘発する仕組みがあっても面白いかもしれない。
もう一つは、セッション間の休憩時間の短さだ。濃密なセッションが続いたため、インプットした情報を頭の中で整理したり、他の参加者と感想を交わしたりする時間がもう少し欲しかった、と感じる場面があった。熱量を維持しつつも、思考を熟成させるための「余白」もまた重要だろう。
最後に、これは贅沢な悩みだが、トラックAとBを同時に視聴できないジレンマだ。アーカイブ配信があるとはいえ、リアルタイムでのチャット欄の盛り上がりも含めての「体験」である。トラックAの「最初のデッキを組んでみよう」というセッションが、実は上級者にとっても基本に立ち返る良い機会になったかもしれない、と後から思った。
結び:次のランへ
NetrunnerCon Japan 2025は、単なるオンラインイベントではなかった。それは、点在していた日本のプレイヤーという名のノード(節点)を繋ぎ、一つの強固なネットワークを形成する、壮大な試みだった。我々は、この2日間で多くの知識を得た。しかし、それ以上に大きな収穫は、「自分は一人ではない」という確信と、Netrunnerという共通言語を持つ仲間たちとの連帯感だった。
イベントが終わり、日常が戻ってくる。俺はまたJinteki.netにログインし、顔の見えない相手と対戦するだろう。しかし、その向こう側にいる相手が、この祭典を共に体験した仲間かもしれないと思うと、クリックの一つ一つに、以前とは違う温かみが宿る気がする。
このレポートを書き終えたら、早速新しいデッキを組んでみよう。Petrovaの心理戦術、データが示した意外な事実、そして決勝戦で見せたトッププレイヤーたちの妙技。この2日間で得た全てを、自分なりの戦略に昇華させるのだ。
サイバースペースに灯った熱狂は、消えることはない。それは我々一人一人の心の中で新たな炎となり、次のランへのエネルギーとなる。ありがとう、NetrunnerCon。そして、また会おう。サーバーの向こう側で。